WonderNotes 可能性を可能にするポータルサイト ワンダーノーツ

#3「心の温かい人は手が冷たいって本当?」

感情豊かな人はアドレナリンが出るので・・・

平林:「心の温かい人は手が冷たいって本当?」という最初の疑問ですね。まず、「心の温かい人」といっても、色々な意味があるでしょうから、ここでは「感情に豊かな人」「興奮しやすい人」と考えてみましょう。ここでいう感情豊かな人というのは、交感作用が働きやすくアドレナリンが出やすい人とも言えます。
アドレナリンが出ると、心臓の機能の力が増えるので、心拍数が増え・血管も拡がり、血の流れがドンドン盛んになります。すると、皮膚や手はどんどん温かくなっていきますよね。

アドレナリンとは

ホルモンの一種。血糖量を高める作用を持ち、血糖量の調節を行う。
また心臓の働きを強めて血圧を上げ、血管を拡張させる役割がある。

國村:すると、「心の温かい人」は手も温かいのではないですか?

平林:普通、そう思いますよね?
でも違うんです。ここがポイントなんですが、血管が広がると同時に、交感神経が刺激されて汗をかくんですね。すると、その汗を介して熱が奪われます。
それは、前回の「お風呂を出た直後に、寒く感じるのはなぜ?」で出てきた”気化熱”があるからですね。つまり、皮膚表面の温度が下がってしまうんです。
ということは、「心の温かい人は手が冷たく」なるんです!

交感神経とは

激しい活動を行っている時に活性化する神経。

平林:「手が温かい人は手が冷たい」という、もう1つの理由を説明しますね。
例えば、体温が低い「手のひら」に直接触れた場合と、汗で濡れた「手のひら」に触れた場合では熱の伝わり方が違うんです。相手の手に水分がついていたとしたら、そして、もしもその人の手が冷たかったなら、さらにもっと冷たく感じてしまうんですね。
つまり、汗をかき、その汗が冷えたまま残っている「人の手」に触ると、手が普通に乾いている人の手よりも冷たく感じてしまいます。
ですから、「感情豊かな人は手が冷たい」という事はあり得るんです。

國村:迷信ではなく、きちんとした科学的裏付けがあったんですね。

平林:もちろん、程度の問題はあります。寒い所にいる状態が長く続いたら、今度は体全体が冷えてしまいますから、すべての状況に当てはまるわけではありませんよ。

冷酷な人は手が温かいの?

國村:反対に、「冷酷な人間は手が温かい」というのはあり得るんですか?

平林:冷酷な人を“どんな時もピクリとも動じることがない人”と考えるとしたら、ドキドキして血圧が上がったり血流が早くなったりもしないわけですよね。
そして、手に汗をかくようなこともない、というわけですね。
ということは、暖かいところでは手が温かいし、冷たいところでは少し手の表面が冷える、というくらいで落ち着いていそうですね。

國村:なるほど、逆は言えないってことですね。

平林:とはいえ、ドキドキしがち・手に汗握る状態になりがちな「感情豊かな人の方が手は冷えやすい」わけですから、それと比較して言うなら、「ゴルゴ13のような何にも動じない“冷酷な人”は、感情的な人より手が温かい」と言えるかもしれませんね。
では、今回はここまでにしておきましょう。

今日は「心の温かい人は手が冷たいか?」という問題を科学的に検証してみました。是非、明日誰かに話してみて下さい!

心が温かい人は手が冷たいという話は、小さい頃から友達と冗談で言い合って楽しんでいましたが、大学生になっても未だに言い合っています(笑)。
科学的に説明できることが分かって、長年の謎が解けました。
今回は「心が温かい人」ということを「感情豊かな人」と定義されていましたが、このように目に見えないことを科学的に説明しようとする場合、その目に見えないものをどのように定義するかが重要だなと感じました。これからは冗談ではなく、根拠を説明できると思うと嬉しいです!
早速、誰かに言ってみようと思います!