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#06「就職活動に応用できる科学ってあるの?」

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まずはゲームをやってみよう!

平林:今回は「就職活動に応用できる科学」を紹介することにしましょう。

辻:もしかして面接に、心理科学とか数理科学とかを応用するんですか?

平林:具体的には「面接に訪れる人の中から、誰か1人を採用する方法」の科学を紹介することで、「選ばれるためにはどうしたらいいか」を考えてみることにします。まず手始めに、「人を選ぶとき、私たちはどうすることが多いか」を知るために、少し「人選び」ゲームをしみましょうか。木原さん、ホワイトボードの前に来てもらえますか?

(木原さんがホワイトボードの前へ)

平林:それでは、こんな「人選びゲーム」をします。パーティーか何かで、これから木原さんの前に20人の男性が来るとしましょう。男性が登場するたび、木原さんには「その男性の点数・好感度」を数字で見せます。木原さんは、その20人から誰か1人を選んでください。ただし、「選ぶ」のは登場して「その数字を見た瞬間だけ」です。前に登場した人を後から選ぶことはできません。また、10人目の人を選んだとしたら、もうそれ以降の人は選べないというルールです。ゲームの最大目的は「一番点数・好感度が高い男性」を選ぶということです。

木原:「男性の点数・好感度」は、どのくらいの数字の範囲なんですか?

平林:それは運命しだいなので、わかりません(笑)。では、木原さん、始めましょうか。「この人!」って決めたら、すぐに言ってくださいね。

(辻さんがホワイトボードに「男性の点数・好感度」を1人分づつ書いていく)

平林:なかなか選びませんね(笑)

木原:ストップ!その人でお願いします!

平林:じゃぁ、辻さん、参考までに「後から登場するはずだった男性の点数」も書いてもらえますか?

(辻さん:ホワイトボードに残りの「男性の点数」を全部書きあげる)

平林:こうして眺めてみると、「木原さんが選んだ人」より点数が高い人は2人しかいませんね。・・・ということは、20人中3番目の好感度の人を、木原さんは選んだわけですね。

平林:じゃぁ、辻さんも同じように選んでみましょうか?

(木原さんがホワイトボードに男性の点数を、1人分づつ書き上げていく)

辻:どうしよう!(笑)。

平林:意外に、優柔不断ですね(笑)。

辻:(10人目に登場した人のタイミングで)じゃあ、その人で!

平林:それでは、後から登場する予定だった「男性の点数」も眺めてみましょうか。なるほど、辻さんも20人中3番目の高点数の人を選びましたね。2人とも、しばらく現れる人を観察して、その後に、点数が高いなと感じた人を選びましたよね? 実は、その選び方は、実は数学的で正解にとても近い選び方、なんですよ。

婚約者を選ぶ法則がある!

平林:それでは本題です。今は「パーティーでの男性選び」というお題目でゲームをしてみましたが、これは “その場で採用可否を決めなければいけない採用面接”と同じシチュエーションですよね。辻さんと木原さんは、ある種の「採用面接官」になって選ぶ側を体験してみたわけです。この「人選びゲーム」は「結婚問題」とか「秘書問題」と呼ばれたりする確率論の最良選択問題なんです。

辻:結婚相手を選んだり、秘書を選んだり、という「選び方の問題」なんですね。

平林:えぇ、そうです。そして、数学的には「20人に出会うのなら、その20人のうちの37%までは点数を覚えておくだけにして、37%観察した後に、それまでの最高得点よりも高い人が出てきたら、その人を選ぶ」ことで、37%もの高い確率で「一番点数が高い人」を選ぶことができる、ということが証明されています。

木原:本当ですか?

平林:さっきの例で、試してみましょうか?

この場合だと、ここら辺(最初の人から37%のあたり)までただじっと眺めてみると「262」点の人が最高ですよね、「この人の点数を超える人」をその後探していくと、284点の人がきます。そこで、その284点の人を選ぶというわけです。すると、全員を最後まで眺めてみると・・・やっぱり、この人が一番「良い人」でしたよね。

もしも、何も考えずに1番目の人をただ選んだとしたら、20人中から一番良い人を選ぶことができる確率は1/20=0.5%にしか過ぎません。けれど、こんな「人選びのテクニック」を知っていれば、「一番良い人」を選ぶことができるわけです。

木原:なるほど。

平林:今は「選ぶ側」になって、「最初の約37%はスルーする」という「人選びのやり方」を考えてみたわけですが、逆に「選ばれる側」になったとしたらどうでしょうか。もしも、採用面接で「最初の約37%はスルーする」という選び方をするような会社ならどうなると思います?

辻:最初の方で面接に行っちゃうと選ばれない(涙)、ということですね・・・。

平林:スルーされてしまう最初の37%には入らないようにする・・・というのがコツでしょうか。

辻:けれど、最初の方の人を絶対に選ばないっていうのは、企業としてはどうなんですか?そこに優秀な人がいたらもったいないですし、もし自分が最初に入ってしまったら・・・。

平林:これはあくまで“その場で採用可否を決めるシステム”の場合ですから、その場で決めるようなやり方をしていないところなら大丈夫ですから、安心してください(笑)。