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#08「雨で透けない白いシャツは作れるの?」

透けない白いシャツの作り方!

平林:けれど、白い水着などが水に濡れたら透けて困りますよね?さて、ここからが本題です。それなら、水に濡れても白いままで内側が透けないようにするにはどうすればいいでしょうか?

木原:屈折率がとても高い繊維を作る(笑)。

平林:それも1つの答えですね(笑)。水より屈折率が遥かに高いものを作る。ただ、なかなかそんな繊維ってないんですよね。

木原:じゃあ、屈折率の高いものを混ぜる。

平林:それも、確かにいい答えですね。例えば、白絵具なんかにも使われている酸化チタンといった屈折率が高いものを繊維の中に閉じ込めてしまう、なんていうやり方ですね。そうすると、酸化チタンが屈折率が2.7くらいあるので、繊維が水に浸っても、光がきちんと曲がったり反射したりして、不透明なままなんです。

辻:そうなんですね。

平林:ほかにも、こんなやり方もあります。ホースみたいな中に空洞がある繊維を使うという方法です。繊維が水に浸かっても、繊維の中の空洞には水が入らず、「繊維」と「繊維の中にある空洞中の空気」との間の屈折率の違いで、光を曲げたり反射させたりするわけです。

平林:ここまでの話をまとめますと・・・
[1] まず白い色は(特定の色の)光を吸収したりしない。
[2] けれど、光が曲がったり・反射したりすることで不透明になる。(スリガラスと同じ)
[3] 水で濡れた繊維の中では光がジグザグ進むことがなくなり、透けてしまうようになる。(スリガラスを濡らすと透けてしまうのと同じ)
[4] そうならないようにするには、屈折率が違う構造や物質を入れてやればいい。
ここまでで、何か質問はありますか?

木原:逆に、濡らした方が透けないってことはないんですか?

平林:水の屈折率は1.3くらいなので、・・・うーん、屈折率が1.1くらいより小さいような繊維だったら、濡らした方が透けなくなりますが、そういう繊維はないんじゃないでしょうか…。

木原:そっか。

木原:さて、この「屈折率」は・・・次回のお話とつながってきますので、お楽しみにしておいて下さい!

夏になると、汗でシャツが透けるのが気になってきますよね。白いシャツが濡れると透けてしまうのは仕方ないと思っていましたが、科学の力で透けない繊維も作れるとは知りませんでした!
中学や高校で習った三角プリズムの話が、こんなところで役に立つんですね。平林先生のお話はいつも幅広くて勉強になります!