WonderNotes 可能性を可能にするポータルサイト ワンダーノーツ

#10「手料理を飲食店より美味しそうに見せるコツってあるの?」

明る過ぎない柔らか暖かな雰囲気を作る!?

平林:そして、もう1つ、色を鮮やかに見せるということに加え、明るくし過ぎないことと、「暖かな雰囲気にする」という事も重要です。暖色と寒色という言葉はご存知ですか?

辻&木原:はい。

「暖色」とは・・・

視覚から暖かい印象を与える色。赤、黄色、オレンジ色などがあてまる。

「寒色」とは・・・

視覚から寒い印象を与える色。青、もしくは青に近い色があてはまる。

平林:左側が暖色で照らされたレストランのイメージ図で、右側が寒色の場合ですね。事務的な打ち合わせをする時には寒色の部屋がいいかもしれないけど、心地良く美味しいものを味わうなら、暖色の方がいいなぁ、と思えますよね。暖色と寒色の具体例を挙げて頂けますか?

木原:暖色は温かみのある色ですよね。赤とか。

平林:そうですね!赤とかオレンジの色は暖色で、青などは寒色ですね。ロウソクやランタンの光はオレンジの色っぽい暖色なので、そういった灯りをポイントに使うと、食事がいい雰囲気になるわけです。

飲食店の明るさには“決まり”がある!?

平林:それなら、色鮮やかに見せる照明や、部屋を暖色系の色合いにしたり、暖色系の照明で照らすという方法を使えば、専門店よりも自分の手料理を美味しく見せられるかというと、そういうわけにはいきません。そういったことは、当然、両方とも専門店でもやっているわけです。だけど、家庭料理が専門店に勝てる有利な点があるんです。ロウソクだけを照明にしたようなお店は、実は営業できないんですね。

辻&木原:へぇー。

平林:夜、食事を提供するお店は、広さや中の作りとか決めごとがあるんですが、明るさに対しても決めごとがあって、たとえば20ルクス以上の明るさでないとダメなんですね。

ロウソク1本の光がちょうど1ルクスくらいなので、テーブルの上にロウソクを5本立てたような「雰囲気のあるレストラン」を作ろうとすると、法律違反になってしまって営業できなくなるんです。レストランなどの明るさも、公に決められているということなんて、普通はあまり意識しないですよね。

辻&木原:そうなんですか。知りませんでした。

「深夜酒類提供飲食店営業の届け出」・・・

居酒屋やバーは0時以降の営業をする場合、深夜酒類提供飲食店営業の届け出をしなければならない。その基準には以下の様な営業所の基準がある。
・客室の床面積が9.5㎡以上であること。(客室が1室の場合は制限ナシ)
・客室に見通しを妨げる設備が無いこと。
・風俗を害する恐れのある装飾、写真等の設備が無いこと。
・騒音、振動の数値が条例により定められた数値以下であること。
・ダンスをする踊り場がないこと。
・営業所の照度が20ルクス以上あること。

平林: といっても、自分の部屋で手料理を作り、自分たちで食べる分には、こういった決まりごとは関係ありません。だから、家で手料理を出す時は部屋を暖色系の色合いにして、決して暗すぎない、けれど、ほのかに暗い暖色系の光で手料理を前にすれば・・・かなり美味しい料理に見えるはずです。皆さん、家庭で是非、試してみて下さい!

私も以前、高級フレンチレストランでホールスタッフのバイトをしていた経験があるので、様々な演出の仕方は多少心得ていましたが、実際にどのような原理が働いているかは知りませんでした。職業でいうとデザイナーさんのお仕事なんでしょうか。 直接「科学」には縁のないようなところにまで知識が潜んでいるのは興味深いですね!今後も日常に潜む科学に目を凝らしてみようと思います。