#11「かき氷は食べても太らないんですか?」
かき氷を食べると、ちょっと痩せる!?
平林:さて、最初のかき氷の問題に戻りましょうか。氷にはカロリーはありません。そして、シロップも人口甘味料を使うことでカロリーをゼロだということにしましたよね。
遠藤:はい。そうすると、かき氷を食べても、体の中で熱量は得られないということですよね。
平林:そうですね。しかも、熱量を得ることができないだけじゃありません。かき氷を食べると、体がすごく冷えますよね。
遠藤:それは、熱を奪われるということですか?
平林:はい、たとえば、人が0℃のかき氷200gを食べると、そのかき氷は体の中で40℃程度まで温められることになります。ということは、「0℃の氷を40℃くらいにまで温めるために必要な熱量」を奪われてしまうわけです。
遠藤: 氷を40℃まで温めるには必要なcalはどのくらいになるでしょうか? 水1gを1℃上げるのに必要な熱量が1カロリー(cal)だから、200g×1cal/(g・℃)×40℃を計算した結果という感じでしょうか?
平林:それに加えて、氷を水に変える熱量も必要なんですね。その氷を水に変えるために必要とされる熱量は1gあたり0.08calです。・・・ということは?
遠藤:200g×40℃×1cal/(g・℃) +200g×0.08cal/g =8016cal/g ですね。
平林:その通り。単位を食品の熱量で使われるキロカロリーの単位にすると、およそ8kcalですね。ということは、食べたかき氷を体の中で温めるために8kcalの熱が奪われてしまうわけです。
遠藤: ということは、かき氷を食べると、8kcalくらいエネルギーを消費したのと同じ・・・ということですね。
平林:はい、・・・ただ、かき氷を食べ過ぎると新陳代謝が悪くなって体温が下がり、その後の熱効率が悪くなってしまって、ダイエットしにくい体になってしまいます。結論からいうと「かき氷を食べるとその瞬間は微妙なダイエットになるけれど、あまりに食べ過ぎて体を冷えしすぎたりしたら逆効果」ですね。
遠藤:残念ですね。
平林:食べ過ぎたりはしないようにして、たまにかき氷を食べた時に「ちょっとダイエットできたかも!?なんて楽しく考えてみる」のが良さそうですね。
遠藤:ちなみに、ゼロカロリーと表示してあるコーラなどは、本当にカロリーがゼロと考えていいんですか?
平林:正確にはゼロではない場合も多いですね。1kcal未満ならゼロカロリーと記載して良いことになっていますから・・・。というわけで「かき氷を食べると微妙にcalを消費する!?」という驚きの雑学を是非、明日誰かに話してみて下さい!!
夏といえばかき氷ですが、このように、熱量まで掘り下げて考えたことはありませんでした。しかし、ちゃんと道筋を立てて「かき氷を食べると、その瞬間は8kcal消費される」という結論に至った時は、新たな発見ができて面白かったです。また、納得できました。これを機に、他の食べ物の熱量にも眼をむけてみたいと思います。
科学は、日常生活の至る所に潜んでいるのですね。とても親しみやすく感じました。さて、この発見を早速誰かに話してみます。どういう反応が返ってくるか楽しみです。