#1「温泉の成分ってどれくらい体に良いの?」
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そもそも「温泉」とは・・・
辻:私、この間温泉に行ってきたんです。温泉に入ると、お肌がスベスベになったり、健康に良いというのは分かるんですが、温泉の成分って具体的にどれくらい体に良いんですか?
平林:最初に「温泉が効く」仕組みから考えてみましょう。温泉が体に効く仕組みが分かりますか?
辻:いろいろな原因があるんじゃないですか?
平林:それでは、温泉が体に効くために関係する要素を、いくつか想像して挙げてみることにしましょうか。 一体、どんなものが関係すると思います?
辻:すぐ思いつくのは「成分」ですね。
平林:そう、1つは成分ですね。それじゃあ、成分以外に何かありますか?
辻:匂いとかですか? あとは酸性かアルカリ性かの違いもありますね。
平林:そうですね。あと重要なことが、もうひとつあります。それは浸透圧です。密度が高い液体は浸透圧が高く、密度が低い液体は浸透圧が低く、液体同士が液体を通す膜を介して接すると、「浸透圧が低い」側から「浸透圧が高い」側に液体が入っていきます。同時に、水の中に溶けているものが液体同士を隔てている膜をとおりぬけることができる場合には、その成分は溶けている量が多い方から少ない方に拡がっていきます。つまり、温泉に入った場合、皮膚を通じて体内に温泉の有効成分、ミネラル成分などが皮膚の中に入ってくるわけです。
辻:なるほど。でも、それだとミネラルのサプリメントなどを口から摂るのと、どう違うんですか?
平林:こう考えてみましょうか。たとえば、化粧品を口から飲みますか? 化粧品を飲みほしても、化粧品が消化・吸収されて皮膚にまでは行き渡りそうにないですよね? それどころか、お腹をくだしてしまうかもしれませんね。皮膚にいい成分なら、わざわざ体の中を遠回りして皮膚に届けるよりも、そのまま皮膚から吸収させた方が良さそうだな、と思いませんか。
辻:確かに、そうですね。
平林:温泉に良い成分があるからといって、浸透圧によって体の中に入ってきやすい・入ってきにくいという違いがあるので、この浸透圧はとても重要です。良い温泉を探すのであれば温泉の成分が水の中にたくさん溶けている高浸透圧の温泉を探して下さい。
辻:その浸透圧は温泉の看板に書いてあるんですか?
平林:温泉の脱衣所などには温泉分析書というのが貼ってありますよね。その中に「この体積中に何gの成分が入っているか」「高張泉(高浸透圧)か低張泉(低浸透圧)か」といったことが書いてありますよ。その成分量が多ければ多いほど、体に良いってことですね。ここでもう1つのポイントとして「含まれている成分が少ない方に成分は拡がっていき、逆に水はたくさん成分を含んでいる方に動いていく」。これが重要です。
お風呂で手がふやける理由とは?
辻:体の中に入ることができる成分は限られていますよね?
平林:そうですね。それは成分の大きさ、つまり、分子量によって違いますね。小さな分子量なものなら角質の隙間から入ってきます。あと、もちろん水もその隙間を移動できますね。人間の体は海水のように塩をたくさん含んでいますから、普通のお湯の中に入ると、お風呂の水が皮膚の中に入ってきますね。
辻:だから普段、お風呂で手がふやけちゃうんですね。
平林:そうそう。それは皮膚が伸びてしまうからですね。普通、皮膚がシワシワになっているのは、体の中の水が出ていると思っていたりしますけど、本当は水が皮膚に入ってきているわけです。私たちが、温泉に入る時に欲しいのは、水分ではなくて温泉成分なので、温泉選びをする場合は、どんな成分が入っているかだけじゃなくて、温泉成分の含有量も気にしてみましょうか。
辻:分かりました。
アルカリ性の温泉は美容に良い!
平林:さらに重要なのはph(ペーハー)ですね。
pH(ペーハー)とは
水素イオンの濃度を示し、酸性かアルカリ性かをはかる物差し。 pHの値が7程度なら中性。 7より小さくなるほど酸性が強く 7より大きくなるほどアルカリ性が強くなる。
平林:人間のpHはどのくらいか、ご存じですか?
辻:6.5くらいですか?
平林:そうですね、7を少し超えるくらいです。アルカリ性と酸性では作用が違いますが、温泉に入る時を考えると、それぞれどういう役割をしてくれると思います?
辻:一言で言うのは難しいですね・・・。
平林:それなら、具体的に例を挙げながら考えてみましょうか。石鹸って、酸性・アルカリ性のどっちですか?
辻:アルカリ性です。
平林:そうですよね。皆さんは、石鹸で何をするんでしたっけ?
辻:体を洗ったり、油汚れを落とします。
平林:アルカリ性は、油汚れを落とすんです。よーく考えてみて下さい。人間の体の脂肪とかって、油の塊じゃないですか? ということは、アルカリ性の温泉に入ると、邪魔な油のお掃除をすることができるわけです。となると、後は簡単、邪魔な油・脂肪などが詰まっていたりする所が、体のどこかにありませんか?
辻:毛穴ですか?
平林:正解! 毛穴です。アルカリ性の石鹸で洗えば、毛穴の脂汚れとかが取れるのと同じように、アルカリ性の温泉に入れば、毛穴汚れがなくなって肌が綺麗になるわけです。ということはアルカリ性の温泉に入ると、毛穴が綺麗になったり、ちょっと汚れた皮膚が綺麗になりそうですよね。
酸性の温泉は病気を治すのに最適!
辻:それじゃあ、酸性の温泉はどんな風に体に効くんですか?
平林:酸性だと殺菌作用が強いので、人間の体についている「菌」を殺してくれます。ということは、酸性の温泉は、いわゆる細菌が原因の皮膚病を直す効果があります。だから、美容に効くのがアルカリ性温泉なら、酸性の温泉はそういった皮膚病に効くわけです。
辻:そういう違いがあったんですね。私たち女子大生には美容に良いアルカリの温泉が魅力的かもしれません(笑)。